たっ君はよくお客さんから肌のつやについてほめられる。
実年齢を聴くと大抵の人はビビる。
飲み屋で知らない同士で客と話していて僕が実年齢を言った途端
関係ないテーブルの客が一斉に酒を吹いたこともある。
近所のコーヨーで酒を買うといいかげんにレジが僕の顔を覚えず毎回免許証の
提示を求めるのでウザい。
そんなたっ君は要するに体だけでかくて顔が大人に見えない。
顔のつやが普通の人より良かったりやほうれい線がないことについてはうらやまし
がられるのとどんな手入れをしているのかという質問に対して
なんと答えていいか、そもそもたっ君は本格的にコテロリのお出かけするときしか
化粧は付けないし普段も化粧水も何も塗っていないし、とくに特定の洗顔料は使ってないし
夏場に顔が脂っぽくなったときだけオキシーパーフェクトウォッシュという
ボディソープにミントが入ったような
やつで顔を洗う程度。それも本当に夏だけ。毎日じゃないし。

肌が荒れるのでひげは毎日は剃らない。気になったら剃る。
何もしていない。

じゃあ
答えは1つしかない。
自分を大人だと思っていないから。
労働の義務はあるし税金を払っている大人の義務は果たしているが
それ以外は自分のこと幼稚園の年中組程度に思っているので
自分のこと年相応だと思っていないし自分は一生老けないと思っている。
そうだなぁ、小学校5年生あたりからたっ君は急に同級生が老けて見えるようになった。
女子が急に大人びてきて近付きにくくなるし
中学になるとみんな声が低くなったり一緒にバカやってた友達も色気づいて
気持ち悪くなった。
みんな真面目腐って勉強するのが何よりも気持ち悪かった。
すすんで勉強やるなんかきもいよ!
たっ君は相変わらず甲高い声でキーキー騒いで小学生みたいにバカやるのが楽しかったのに。
でも高校はたっ君はこどものままでいいよという環境だったので
そこから僕は自分の年齢をあまり気にしなくなった。
学校の中でジェニーを持ち歩き、休み時間はぬりえをして遊び
子供向けのアクセサリーを付けて
一時期はよく制服のズボンにはオレンジのスライム?(アメーバみたいな
粘土みたいな奴)の入ったボトルをひっかけていた。
退屈な時に持ち出してむにゅむにゅともむと楽しいからだ。

大学に行ってもバービーのリュックを背負い今度はジェニーの代わりに
お気に入りの召喚獣のシヴァのフィギュアを持ち歩き、
歩くと疲れるので広い学内でキックボードを乗り回していた。


少なくともたっ君はあかんぼではないが大人ではないと思っている。
たとえ年下でも仕事の取引先の人を『大人』だと思っているし(たっ君の仕事の
取引先の担当者はたっ君より年下が当たったこと自体ないけどね。
なんでかというとたっ君はえげつない値切りをするのでフレッシュな新人君
だとかわいそうだからだと思う)
その人に子供がいればたとえものすごく若い人でもたっ君から見たら『おじちゃん・おばちゃん』になる。

おふくろはそんな僕のことを昔から『赤ちゃんぽい』というが最近は何も
言わなくなった。
こないだナントカリゾートというホテルに泊まった時チェックインのところでフロントまわりのロビーで
JTBでホテルを予約した小学生までのおこさまに
お絵かきセットや簡単なおもちゃが入った『福袋』を配っていた。
福袋からお絵かきのセットがチラリと透けて見えたので当然たっ君はそれをほしいなーと目で追ってしまう。
そしたら気が付いたおふくろがたっ君にもよこせとホテルの人に交渉してくれたが
小学生までの子供しかだめなんですとだめだった。
後で思うと子供の年齢で判断して予約数のみしか用意してなかったからしかたないと
思うがやっぱりたっ君だってあの福袋をほしかった!
お絵かきの道具って消耗品だからいくつあっても困らないんだもん。
そもそもたっ君たちもJTBで予約したしさっき今チェックインしたじゃないか!差別だ!

本当はジェリージャムのイベントだって行きたい。
ベロに会いたいよ。お絵描きにも参加したい。
でも多分たっ君は大人だからだめだって言われるんだろうなー。
つまんなーい。ぶー。ぶー。

つまりたっ君は自分のことを何歳かは分からないけど少なくとも成人では
ないと思っているから顔が老けないんだと思う。

結論が遅くなったけど要するに
『若くなりたい』じゃなくて『若い』と思っているから見た目も若いままだって
ことが言いたい。
○○なりたいじゃなくて自分は○○だって思うことだと思う。

仕事もそうだと思う。
なりたいしたいと願うだけじゃいつまでたっても意識高い系のうっとうしい人で
終わりそう。


だからたっ君の場合実年齢と見た目年齢が違いすぎるのは
化粧品でもエステでもましてや整形でもなく、
もともとそう思い込んでいるから結果としてそんな顔になってしまったって
ことなんだよ。